読者の感情を揺さぶる!◯◯の秘訣|ライティング講座【Creaple】

読者の感情を揺さぶるにはどういう構成にすれば良いのか?
Creapleうっぴー様によるライティング講座です♪

現代人は刺激に慣れている

現代人は情報の洪水の中を生きており、普通のやり方では興味を惹きつけることはできません!

物語を大きく心を揺さぶるような構成にすることで、読者の興味をひきつける必要があります。
なぜなら、情報の洪水の中に生きる現代人は情報端末から常時刺激を受けているため、刺激に対する感覚が鈍麻しており、普通の刺激では興味を持ったりしてくれないからです。

対極の感情をぶつける

物語で読者の心を揺さぶるには、特定の感情を募らせておいてからその対極となる感情をぶつけることです。
例えば、拒絶から受容、希望から絶望、不満から満足、安心から不安、破壊から栄光、などです。

芥川龍之介の『蜜柑』

少女が汽車の窓を開けて車内を煤煙だらけにする(嫌な娘!)。
少女は自分を見送りに来た弟たちに窓からミカンを投げ渡す(弟想いの良い娘じゃないか!)。
嫌な感情を募らせてから、姉弟愛が伝わるシーンを持ってくることで、感動を生み出しています。
文豪、芥川龍之介の短編小説『蜜柑』(1919年刊行)がコレのお手本になります。

『蜜柑』のあらすじを簡単に説明します。

主人公の二等兵が横須賀線の汽車に乗ると、薄汚い格好をした娘が入ってきます。
主人公はその子を見て嫌だなと思いました。
彼女は汽車がトンネルに入る前に窓を開けて、車内を煤煙だらけにしてしまい、主人公は内心非常に怒ります。
しかし、トンネルを抜けると三人の幼い男の子たちが手を上げ声を張り上げており、娘はその子たちに向かって、5つか6つくらいの蜜柑を投げます。
それを見て主人公は、おそらくこれから奉公先に上がろうとする娘が、自分を見送りにきた弟たちの労をねぎらうために蜜柑を投げたのだと知って朗らかな気分になれました。

というものです。
「嫌な気分」を募らせておいてから「姉弟愛」が伝わるシーンを持ってくることによって、感動を与えています。

人間の心の性質

ただ嬉しい、悲しいより、悲しかった後に嬉しい、嬉しかった後に悲しい方が、人間の心はより深く嬉しさや悲しさを感じるようにできています。
人間の心は揺らぐ波のような性質を持っており、対極の感情をぶつけることで波を大きくすることができます。

喜びのようなプラス方面でも怒りのようなマイナス方面でも良いので、特定の感情を抱くようなエピソードを提示し、そこから対極の感情に触れるようならエピソードを持ってくると、プラスとマイナスの落差によって、心が大きく揺らぐのです。
他にも例をあげてみましょう。

『死亡フラグ』の手法

1. 「この戦争が終わったら、彼女と結婚するんだ」と話す兵士は必ず死ぬ。
2. 非道な悪役が正義や愛に目覚めると、悪の組織に裏切り者として殺される。
3. 怪しい物音がしたので調べてみると猫だった。「なんだ~」と、安心した直後に殺される。

「幸せな未来」を予感させておいて「破滅」へ。
ただ死ぬより、悲しみが倍増する!

以上のような物語に共通するパターンがあり、死亡フラグと言われています。
感情をプラスの極からマイナスの極へと、振っていることに気づくと思います。
1の場合は、「幸せな未来」を予感させておいて「破滅」へ。
2は「わかり合えること」を予感させておいて、「破滅」へ。
3は「安心」から「破滅」へ。
このように、プラスの極に持ち上げておいてから不幸のどん底に突き落とすと、悲劇性が増し読者は心を激しく揺さぶられるのです。
死亡フラグの逆、生還フラグでも同じテクニックが使われています。

『生還フラグ』の手法

崖から突き落とされる主人公やヒロイン。
「…この高さでは助かるまい」

でも実は生きていて、仲間のピンチにかけつける!
絶望が喜びに変わって感動する!

これはまず助からない状況を作り出し、絶望を味わわせてから実は生きていた、という喜びを与えることで読者の喜びの心を揺さぶっているのです。
重要キャラが胸を銃弾で撃たれて、川も流れていない断崖絶壁から突き落とされ、主人公がその死をさんざん悲しんだ後にひょっこり生きて戻ってくる。
しかもなぜ助かったのか詳しい説明はしない、などという作品もあります。

ご都合主義だといわれても、悲しみの後に大きな喜びを持ってきた方が、多くの人はおもしろいと感じるのです。
使い古された手ですがそれ故にこそ有効であり、今でも多くの物語に使われています。

『進撃の巨人』の手法

仲間を命がけで守る良い奴!
その直後に裏切る!
読者は信じられないと衝撃を受ける。

例えば、人気漫画、『進撃の巨人』でもこのテクニックが活用されています。
「仲間を命がけで助けた信頼できる人物が、実は主人公たちの宿敵だった!」

特定の人物に対してプラスの感情を募らせてから、その人物が裏切り者だったというマイナス感情をぶつける展開を持ってくるという、読者に衝撃を与えたい、ここぞという場面で使われています。
このテクニックは連発し過ぎると効果が薄れるので、このように大きな衝撃を与えたい場面で使うと良いでしょう。

マイナスでも、プラスでも特定の感情を募らせてから、それとは対極の感情を刺激するエピソードを持ってくるというテクニック、ぜひ活用してみてください!

まとめ

プラスとマイナスの落差で読者の心を揺さぶろう!

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【うっぴー】
多角的な視点、深い内容でライトノベルの手法を分析するサイト、ライトノベル作法研究所の管理人。

【ライトノベル作法研究所】
http://www.raitonoveru.jp/

icon-quote-left 出典:【ライティング 講座】読者の感情を揺さぶるには?byうっぴー – youtube  icon-quote-right

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