日常の中の非日常を描いた少し不思議な小説三選!

日常の中にちょっとしたファンタジー要素を加える作品は数多くあります。
そこで、そんなおすすめ小説を三作紹介していきます。

オーデュボンの祈り

まず一つ目は、伊坂幸太郎著のオーデュボンの祈りです。
本作は、強盗に失敗した主人公がおかしな島にやってくるところからはじまります。
その島には、未来予知をする喋るカカシ、思ったことと反対のことしか言わない男、人を殺すことの許された男など変わったキャラクターが登場します。
そんな中、未来予知するカカシがバラバラに壊されます。
ここから話はミステリーの側面を見せてきます。

なぜ未来予知ができるのにカカシは、自分が壊される未来を誰にも告げなかったのか。
何故、思ったことと反対のことを言わない男はそんな風になってしまったのかなど、あらゆる謎が伏線と共に最後に繋がっていき、物語は結末を迎えます。
一見、荒唐無稽に見える物語も伊坂氏の高いストーリーテリング能力が、話に妙なリアリティを持たせています。
所々に書かれる教訓的な話も興味深く、誰にでもおすすめできる作品となっています。

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。
by amazon

夜市

次は恒川光太郎著の夜市です。
本作は主人公の女学生が友人の男に夜、外へ連れ出されるところからはじまります。
連れて行かれた先は、「夜市」と呼ばれる市場でした。
夜市はこの世ではない異形の者が店を開いていて、そこで何かを買わなければ、元の世界に戻ることができません。
そこで男の過去と男が夜市に主人公を連れてきた意外な真相が明かされ、物語は終幕します。

あらすじを辿ると、一見ものものしいホラー小説のように思えるかもしれませんが、本作は幻想的なファンタジー色が強くなっています。
作者の読みやすく洗練されたみずみずしい文章と、淡々と展開される話が、ただのホラー小説と一線を画しているのです。
ホラー小説のサスペンス感や恐怖はないですが、構成が優れている本作は最後まで読者に飽きさせない話になっています。

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。
by amazon

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド

最後に紹介するのは、村上春樹著の世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドです。
本作は【記号士】や【計算士】や【ヤミクロ】など作品特有の職業や固有名詞がほとんど説明のない中で登場し、そういったものが物語を作っていきます。
とっつきにくいと思われるかもしれませんが、村上氏の平易な文章と独特の語り口でぐいぐい物語に引き込んでくれます。
話は【現実の世界】と【世界の終わり】が交錯して語られます。
作品全体がメタファーとなっているような本作は、一読の価値ありです。

村上春樹、80年代の記念碑的長編。
by amazon

まとめ

上述した作品は日常からのちょっとした飛躍を体験させてくれます。
現実世界に疲れた方、少しの非日常感を味わいたい方におすすめしたい作品です。

この記事を書いた人

1031koshiki
フラフラしてる二十代。小説出版に向けて編集者と連絡を取っているけれどもまだまだ先は全く見えない

漫画制作向けに特化したEXバージョンへのアップグレード方法や特徴はこちらへ

スポンサードリンク

この情報をシェアする!!

コメントを残す