設定の中にちょっとした超常現象を加えるミステリ小説があります。
そこでここではそんなミステリの中でも特におすすめの三作品を紹介します。
リピート
まず一つ目は乾くるみ著のリピートです。
この小説は、主人公宅に地震の予告した一件の電話がかかってくるところからはじまります。
予告はぴたりと一致し、電話の主は未来からやってきたのだと主人公に告げます。
電話の主は、ある地点からある地点の時間を何度も繰り返しているというのです。その時間旅行に主人公は誘われます。
そして、何人かの同行者と共に時間を戻した主人公でしたが、戻った過去で同行者が次々と死んでいき、その真相を探っていくこととなります。
この小説の序盤は時間旅行をする人間を描くSFものですが、同行者の死を機になぜ同行者が死ぬのかというホワイダニットミステリに変わっていきます。
意外な真相、キャッチーな題材、エンタメとして優れたこの作品は特殊設定ミステリの傑作となっています。
削除ボーイズ0326
次に紹介するのは、方波見大志著の削除ボーイズ0326です。
この小説は小学生の主人公が、三分二十六秒の時間を削除することのできるKMDという装置を手に入れるところからはじまります。
主人公は、ある事故で歩けなくなった親友、自殺する兄、親の株の失敗で困っている友人を助けるためにこの装置を使うのですが、そのどれも上手くいきません。
事件や事故の起こる三分二十六秒を切り取っても、物語は主人公が望む形にはなってくれないのです。
そこに過去の事件と現在が交錯し、物語は収束していきます。
この小説は自分がKMDを持っていたら、どうするだろうと考えさせてくれるような物語となっています。
非常に読みやすく、普段読書をしない方でもすらすらと読めると思います。
七回死んだ男
次に紹介するのは西澤保彦著の七回死んだ男です。
この物語の主人公は、一日を七回繰り返してしまうという特殊能力を持っています。
ただ、毎日七度繰り返すわけではなく、その現象はごくまれに起こります。
しかも起こる時期を主人公がコントロールすることはできません。
そんな中、祖父の実家に帰郷した際、事件は起こります。
その日主人公に例の現象が襲うのですが、一度目は死ななかった祖父が二度目の繰り返しで、死んでしまったのです。
そこで主人公は祖父が死なないように奔走します。
そして、最後にこの設定を逆手に取った意外な結末が訪れます。
この小説は、祖父の死を食い止めるという話なのですが、話は終始軽妙な一人称で語られるため、重苦しさは微塵もありません。
血なまぐさい話が苦手という方にもおすすめできるミステリとなっています。
まとめ
特殊設定ミステリは、キャッチーなものが多いので、読書にあまり興味のない方でも楽しめることが多いと思います。
是非、一読してみてはいかがでしょうか。
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