グレート・ギャツビー
まず一つ目は、スコット・フィッツジェラルド著のグレート・ギャツビーです。
この小説は1900年代前半のアメリカが舞台です。
主人公の家の隣にはギャツビーという青年が住んでいました。
ギャツビーは自宅で、頻繁にパーティーを開いていました。
主人公とギャツビーは、友人関係になり、やがて主人公はギャツビーの過去とパーティーを開く理由を知ることとなります。
この小説は、ギャツビーという男を主人公の視点から描いていく作品です。
実直で頭がよく、誇り高いギャツビーですが、その実直さのあまり、悲しい結末を招きます。
もっともこの悲しいというのは、私の個人的な感想であり、人によっては全く別の感情を抱くかもしれません。
かの村上春樹氏が人生で巡り合った最も大切な小説というこの作品は一読の価値ありです。
ムーン・パレス
次に紹介するのは、ポール・オースターのムーン・パレスです。
大学生のマーコは、育ててくれた叔父の死を境に、破滅的な生活を送るようになります。
ただし酒やドラッグにおぼれるわけではありません。
その誇りの高さから内省的かつ哲学的になり、どんどん浮世離れしていくのです。
そんな中で、二人の友人に救われます。
マーコは生活を立て直していく中で、自分の過去や親のことを知ります。
本作は、主人公マーコの複雑な青年期を描いています。
理知的でありながら破滅的で、時に感情と理性の折り合いがつかないマーコの心情が文字を尽くして語られた本作は、青春文学の傑作となっています。
山月記
最後に紹介するのは、中島敦著の山月記です。
郷里の秀才だった主人公李徴は、自尊心の高い男でした。
そんな彼は、役人という身分に満足できず、役人を辞め、詩人になります。
しかし、詩人として成功を収めることができず、やがて小役人としての生活を強いられることとなります。
さらには、気位の高い李徴はそれに耐えられず、発狂し、やがて姿をくらまします。
姿をくらましていた李徴ですが、森で自尊心の権化である虎になっているところを友人に発見されてしまいます。
本作は、高すぎる誇りや自尊心が破滅を招き、それらがいかに醜悪であるかということが描かれています。
しかし、そういった感情は多かれ少なかれ誰にでもある普遍的な感情で、そういったものを虎というメタファーを用いて書かれているのが本作です。
高校の授業で学んだ方もいるかと思いますが、もう一度手にとってみるとまた違った読み方ができるかもしれません。
まとめ
今回紹介した三作品は、誇りが高く、世間と少しずれている登場人物が、ハッピーエンドとはいえない結末を迎えます。
彼らの考え方や生き方から得られることは多いと思います。
最後に私見になってしまいますが、私は、ギャツビーもマーコも李徴も非常に魅力的な人物だと思っています。
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