透き通るような虚無感を描くカフェ小説の最高傑作!【清潔で明るい場所】

ヘミングウェイの『清潔で明るい場所』は「カフェ小説の最高傑作」と呼ばれる短編小説だ。
明るい照明に、よく磨かれたカウンター。
そんな”清潔で明るい場所”に惹かれてしまう人間の、透き通るような虚無感が描かれている。

カフェの明りか温かい毛布か

この小説ではスペインのカフェが舞台だ。
午前二時を回る頃、毎晩ブランデーを飲みにやってくる老人がまだ店に残っている。

老人はおかわりをねだるが、ウェイターの一人は早く店じまいをしようと老人を帰らせてしまう。
年上のウェイターがそれを非難する。

「おれも、どちらかといや、カフェに遅くまで粘りたがるほうでね」
「いつまでもベッドに近寄りたくない連中の同類なんだ。夜には明りが必要な連中の同類なんだよ」

一方、年下のウェイターが求めるのは温かい毛布だ。

そんな彼に年上のウェイターの言葉は届かない。

生きるのに必要な”清潔で明るい場所”

彼と別れた後、年上のウェイターはカフェに残りたがる老人と、それに同調する自分が抱く漠然とした感情を言葉にする。

「いや、不安とか恐怖が自分をむしばんでいるのではない。よく知っている無というやつなのだ、おれにとりついているのは。この世はすべて無であって、人間もまた無なんだ。要するにそれだけのことだから、光がありさえすればいい。それにある種の清潔さと秩序が」

ここで”無”は目を閉じた瞬間に広がる暗闇のことを言っているのだろう。

無を目の前にすると、人は生きる意味を見出せなくなる。

言ってみれば、生きるためには虚無から目を背ける必要があるのだ。

“清潔で明るい場所”にはその虚無感に飲み込まれそうになりながらも、生きることを選んだ人々が集まる。

そこにはよく磨かれたカウンターと明るい照明とが必要なのだ。

マッチョなイメージの強いヘミングウェイだが、彼はモダニズムの作家として、繊細でおそろしいほどの切れ味をもつ短篇を生みだした。ジョイスが完璧と賞賛した「清潔で明るい場所」をはじめ、14作を新訳・新編集で贈る。
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この記事を書いた人

ユミヨシ

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