斜めから人の顔を描く事を題材にして、
デッサンが常に終わりを意識しているものである事
もっと極端に言えば、終わりを出発点にして、考えていく技術である事をお話してみたいと思います。
まず、ざっと人の顔を描いてみます。

手が左のほうに触れていくと思うんですけども、これが終わりを意識しているという事です。

終わりというのは消失点の事です。
例えば人の顔で言うと、眉毛とか目とか口は、正面から見れば平行線なんですけども、
斜めから見た時には、遠くへ行くに従って小さくなっていきます。
最終的に一番遠いところを消失点とするわけです。
そこを出発点に近くなればなるほど大きくなってくる。
そこを逆説的に描いているのがデッサンというわけです。

実際には点を打ってないですけれども、頭の中でこの辺アタリに点があるなとイメージしています。

そこから三角形を描いているわけですね。近くなればなるほど大きくなる。

三角形に対して、平行に交わる線というのは、それぞれを同じ比率で分割します。

消失点、つまり終わりは英語で言うとENDです。
ENDにはもうひとつ「目的」という意味があるのですけれども、
消失点、一番遠い点というのは、つまり目的地という事なんですね。

そこに向かって一番近いところから旅をしていく。
出発点からそのまま追っていくのが、クロッキー的な考え方。

それに対してデッサンは出発点と目的地をいきなり結びます。
そこから分割して、計画するわけです。

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動画投稿者様

デッサンとデザインは同じ語源(ディゼーニョ)から枝分かれした単語ですが、もともとの意味は「計画する」ということです。
では、「計画する」とは何か? 完成形から逆算するということです。
人間がものごとに当たる時には、通常部分の情報を積み重ねて全体を把握します。あるいは、時間の経過にそって少しづつアクションを起こします。001のたとえで言えば、それはクロッキー的です。
それを逆転させることが「計画」です。まずは全体をイメージし、そこから部分を割り出すこと。いつまでに何をやらなければならないかを決めて、その日にやるべきことを算出すること。いずれも、割り算的思考です。
デッサンに関して言えば、さらに徹底していて、ものが消えてなくなる終わりの点(=消失点)を出発点にします。徹頭徹尾、終わりから考えていくわけです。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=4dyYCJyOVl8