赤ペンで学ぶ二点透視(屋外編)

実際の添削を見て効率的に学ぼう

制作業務のかたわら、Skype教室で絵を教えています。(生徒募集中)
生徒の一人が匿名で習作の二次使用を許可してくれたので、今回は好意に甘えて実物の習作を見ながら二点透視の基礎をおさらいしましょう。

まずは赤ペンなしで

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まずは赤ペン添削なしで、絵の素晴らしいところを楽しみながら(絵を見た時に悪いところから探す癖を付くと人生は極めて無念なものになります)、正すべき空間のゆがみも見つけておきましょう。宝探しと間違い探しを同時に行っているようですね。

赤ペン1 レンガ塀の角

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簡単に見つけられて、簡単に直せるところから見ていきましょう。
レンガ塀の角が、家の敷地側へ斜めに落ちています。
パースに沿って線を引いているはずなのに、なぜこんなことが起きてしまうのでしょう?
よく見ると、塀の角の上面に引かれている横線がまっすぐではありません。
左側の終着点が対角線より少し上で引かれてしまっているせいで、塀の上部全体が斜めに傾斜して見えているようです。
パースに沿ってまっすぐ線を引いているつもりでも、なぜそこに線を引くのかということを考えずに描いてしまうと、うっかりこういうズレが生じてしまうことがあります。
パースは、従うだけで勝手に正確無比な立体空間を描かせてくれる魔法の技術というわけではないということですね。

赤ペン2 玄関付近

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上から順に見ていきましょう。
シャッターかブラインドで閉じている窓ですが、ブラインド内の横線の間隔が不規則になっています。絵を描いているときは気になりにくいのですが、逆に一度完成すると意外と視線が向かいやすいのが画面端です。

同様に、窓の左の勝手口のひさしの線も、気が抜けてたくさんはみ出ているのがよく見えます。また、パースとは無関係ですが、かなり重量がありそうな大きなひさしで、この構造で支えがないと荷重が少し気になります。
もちろん、見えない裏側にしっかり補強材が組まれているのかもしれません。

続いて玄関前の低い塀ですが、太さが曲がり角でかなり変化しており、
道路側がかなり太くなっています。これも意図した作画ではなさそうです。

ドアノブもやや怪しいですが、きわめて小さいので今回は判断がつきません。
最後に、手すりの一番高いところが、水平になっていませんね。
壁に向かって急傾斜で斜めに落ちてしまっているようです。
これは単純にパース線を引くのを面倒がり、直線ツールで適当につなげてしまったのでしょう。

そういうこともあるでしょう。納期がギリギリだったり、パースが重要でない絵ならなんの問題もありません。
ところがこれは十分な時間の猶予の中で描かれた正確なパースを取るための習作なので、絵の主題、目的に反した大きな失敗ということになります。

赤ペン3 その他の赤ペン

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広い空間を描いた絵であるほど、全体に注意を払うことは難しくなります。
しげみ、プールサイド、画面中心奥の空間など、他にもいくつか怪しげなところがありますね。

一つ一つ、絵を描いた後に見返して学ぶことは大切ですが、もっと重要なことは自身が作業中に間違いを犯すとき、何がどのようにおかしいか観察する習慣を持つことです。
限られた人生という納期の中で全てを完璧にこなすことは困難です。
ですが、部分的に完璧にしたり、妥協したりすることを選択できれば、少なくとも作業しながら思っている通りの絵が完成するのですから。

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この記事を書いた人

浜崎ユウマ
絵描きです。好きなものは無、きらいなものは余剰です。

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