主人公は読者自身?
某ラノベ編集者の方がおっしゃっていたのですが、最近のラノベ読者は、主人公が苦労する話をあまり好まないのだそうです。
もっと細かく言うと、「努力はOKだけど苦労はNG」。
努力は成果が見えるけど、苦労は読んでてシンドイだけだからダメ。
それなら努力している姿を延々と描けばいいのかと言えば、それも苦労しているように見えてくるからダメだとか。
こういった傾向は、女性読者よりも男性読者に強くあらわれているようです。
主人公は特別な人
個人的な考え方ですが、女性読者が主人公の苦労をタブーとしないのは、多かれ少なかれシンデレラコンプレックスを持っているからではないかと思うのです。
つまり、「苦労をするけれど、いつかは素敵な王子様とハッピーエンドを迎える」というロマンティックな考え方ですね。
それに対し男性は、女性よりも強くメサイアコンプレックスや英雄症候群を持っているのではないかと思います。
「誰よりも強くありたい、誰かを助けたい(だって自分は強いから)」という、ある種のマウンティングな考え方ですね。
おそらくこれは、男性の本能的な部分も関係してくるのでしょう。
強くありたいと思うことは素晴らしいことですし、それを小説の男性主人公に求めてしまうのも、謂わば当然のことです。
そこで生まれてくるのが「俺TUEEE」というジャンルです。
俺TUEEEというだけあって、こういった創作物の男性主人公は、登場した時点で、既に「最強」です。
努力も苦労もなく、困っているヒロインや脇役を助け、次々現れる敵を猛然と蹴散らし続けます。
主人公の目線で物語を追っている読者は、最強の主人公に陶酔し、そして自分自身を重ね合わせていくのです。
俺TUEEE主人公の弱さ
読むには痛快な俺TUEEE系小説ですが、書くとなると、ちょっと大変です。
主人公が最強であるがゆえに、物語が「主人公登場で解決」のワンパターンに陥ってしまい、結果的に主人公の魅力が半減してしまう恐れが出てくるからです。
では、どうすればいいのでしょうか。
解決方法は、これ。
最強主人公に「弱点」を作ることです。
小さなことでいいのです。
女の子に弱い。虫が苦手。泳げない。
また、主人公が自分の弱点を自覚している必要はありません。
敵だけが気付いてしまった弱点、もしくは第三者(読者も含めて)だけが気付く弱点を作っておけば、物語がマンネリ化した時に、その弱点を突くことで新たな展開が生まれてきます。
主人公を創る際には、「最強である意味」と「最強の中にある弱さ」を合わせて考えてみましょう。
まとめ
せっかく創った最強主人公に、わざわざ弱点を加えるなんて……と嫌がらないでください。
そういった弱点があるからこそ、主人公は人間的魅力にあふれてくるのです。
この記事を書いた人

生活環境のせいか、比較的レトロジャンルが得意(な気がしている)。