時間は有限
時間は有限です。人生は有限です。
有限の世界を思い通りに生きるには、自分のやろうとしていることにどのくらいの時間が掛かるのか、なるべく正確に把握することが近道です。
絵や物語を作る時も例外はありません。

たとえば、この約1000文字の記事を読み終わるまで何分かかるか、測ってみることも有効かもしれません。
現在時刻はご覧になりましたか?ここまでが大体100文字です。
次へ進みましょう。
工程ごとに細かく把握しよう

もちろん、作業開始から完成・納品までの期間がその人の仕事の早さです。
しかしそれは、クライアントにとって以外はあまり役立つ情報になりません。
(もちろんアトリエが真空状態の実験室の中にあって、外的要因を排して一年中作業していれば話は別です。)
面倒ですがトップダウンでなく、ボトムアップで計算してみましょう。
架空のあなたはよく漫画を描いて納品していて、ふと制作ペースが気になりました。
A:架空のあなたは普段ためこんでいるアイデアの引き出しから、10p分の話の種を拾って、物語にまとめるのにおよそ4時間要します。
B:1をネームに起こすのは早い時もあれば遅い時もあり、平均3時間掛かるようです。
C:出来上がったネームは、担当編集者やネーム作業の熱が冷めて冷静になった自分自身によって、2時間かかる程度の修正を要求されるでしょう。

D:架空のあなたは、修正の終わったネームを下書きに起こす作業を始めます。
シンプルでメルヘンチックな絵柄の時は速く、千羽鶴が主人公で高層建築物を飛び回り王侯貴族の社交界に出席するエピソードならかなり時間がかかるようです。
しかし平均して、15時間あれば10p描けるようです。
E:架空のあなたはついに下書きから線画を描きます。
トーンワーク、ベタ塗り、クロスハッチングをすることもあるでしょう。
後戻りはできない。平均32時間!
F:架空のあなたの架空の10pはもうほぼ完成しています。
架空のあなたは平均4時間程度の修正、校正作業を終え、深い眠りに就きます。
G:無情にもなんらかの理由で、完成品の全面リテイク、ないしプロジェクト自体がなかったことになることがあります。
10回に1回は避けられないようです。
制作ペースの内訳が見えてきました。
4h+3h+2h+15h+32h+4h*1.1=66h
10p/66時間!
ペース配分を理想に近づけよう
架空のあなたは自分が10pあたり大体66時間で制作していることが判明しました。
ここまで掌握してしまえばこちらのものです。
今後は、時間を掛けすぎている工程の速度を上げよう。
架空のあなたは決心します。
そして、効率化しただけ、もっと時間を掛けたい工程に時間を注ぎます。
架空のあなたAはもっと脚本に時間をかけて話を洗練することにしました。
Bはネームに時間をかけてコマ割りを推敲することを好敵手に告げます。
Cは下書きに時間をかけて画面の調和の完成度を高めると恋人にささやきます。
Dは仕上げに時間をかけて線やトーンワークを美しくすると神に誓います。
架空のあなたは、架空の架空のあなたへと近づく理想の旅へこぎだしました。
おめでとう、架空のあなた。

作業そのものの管理も楽に
作業ペースの内訳が逆算できれば、各工程の事実上の〆切も把握できます。
病気や急用が入っても、作業がどこまで進むか予測して対策できます。
自身の行動速度についての最新情報を得るほど、
作業という巨大で複雑でドロドロとしたタスクの塊は、
ずっと扱いやすくなるでしょう。
ちなみにこの記事1つ読むには、何分かかりましたか?
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