もっとも厄介なテーマに挑む吉田秋生の真骨頂
言わずと知れた、『Banana Fish』や『Yasha』『櫻の園』など映像化された人気作品を多く執筆した吉田秋生が鎌倉を舞台に四姉妹の物語。
第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ大賞2013受賞。
人気女優広瀬すず、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆らが出演、世界中にファンがいる映画監督・是枝裕和監督がメガホンを取り、映画化もされた作品。
ここまでくると面白くないわけがないとお思いだろうが、ご名答、読まない理由はゼロです(笑)
派手な演出は一切なし。四姉妹の「家族」の物語
鎌倉で暮らす三姉妹の元に、自分たちが幼い頃に離婚して家を出て行った父の訃報が届いた。
次女・佳乃は15年以上会っていない父の死を特に何とも思えず、三女・千佳も父との思い出が殆どなくて佳乃と同じ気持ちだった。
それでも長女・幸の頼みで葬式に出るために山形へ赴いた佳乃と千佳は、そこで年齢の割にしっかりしている中学1年生の異母妹・すずと初めて出会う。
私が特に好きなエピソードが『海街 diary 4 帰れないふたり』に収録されている「ヒマラヤの鶴」という話。
8,000m 級のヒマラヤ山頂の上空を飛んで、チベット高原からインドへと渡っていくアネハヅル。
主人公すずのお姉さんが勤めているスポーツショップの店長には、かつてエベレスト登頂に挑み、失敗した過去がある。
その時のエピソードを、病気で右足を切断した地元のサッカーチームの元エースで、すずの同級生多田くんに話すのだが…
丁度このエピソードを読んだのが、震災直後くらいの時で、いろいろと考えさせられた。
鎌倉の四季を通して「家族」「生と死」に向き合う登場人物を淡々と描く
映画も大ヒットしたことが記憶に新しい作品ですが、原作もそれ以上に素晴らしく、1話完結のオムニバス形式のような作りをあえて取り入れているのは流石 吉田秋生。
鎌倉の美しい四季を通して「家族」「生と死」に向き合う登場人物を淡々と描いている。
ちなみに原作者 吉田秋生が映画化するうえで、是枝監督に唯一オーダーしたことは、漫画で顔出しのないキャラクター「新井さん」(長女 幸の看護師後輩でドジっ子な設定)は絶対に顔出ししないでください、だけだったそうだ(笑)
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