赤ペンで学ぶネーム改良

他人の添削で学ぶ

制作業務のかたわら、Skype教室で絵を教えています。
ゴースト漫画編集のアルバイトをしていたこともあり、ときどき漫画のネームの添削もしています。

生徒の一人が匿名で習作の二次使用を許可してくれたので、今回は実際の添削から、ネーム改良例をピックアップします。

習作ネームの内容は、世界三大悲劇と目されるエミリー・ブロンテの名作小説、『嵐が丘』が題材の短編奇譚のようです。

状況説明の補強

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冒険者の主人公が宿泊した洋館の書架で、非業の死を遂げた少女の物語を発見するシーンです。

作者に聞くと、1つ目のコマは、本の全てのページの端に子供の字で書き込みがびっしりされているという説明がしたかったようです。

そういうことなら、複数のページの端が見える絵にしたほうが良さそうです。
ついでに左のコマへ視線が進むような流れのある絵にすると都合がいいかもしれません。

状況説明と視線のズーム操作

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本に手書きされた詩を読んでいる主人公の背後の窓から、雷鳴と共に幽霊が現れるシーンです。

主人公の顔以外にも細くハイライトを入れると、稲光で暗い部屋が照らされているシーンで、主人公が本を読んでいたところなのだとわかりやすくなります。
実はこの直前のページからこのページをまたいで大きく場面が切り替わっており、この1コマ目はぜひとも状況を分かりやすくしたいところです。

窓にキャンドルが置いてあるのですが、これは単純に前後のシーンで重要な小道具となるはずが描き忘れていたので赤ペンで指摘しています。

2コマ目は、うっすら小さく、窓に幽霊の手を描いてしまったほうがよいでしょう。目新しい小さなものが中心にあると、読み手は無意識に目の焦点をそこへズームインします。
何かをふっと見る、という動作が主人公とリンクし、
最後の幽霊の手とはっきり判明するコマが相対的に迫力のあるコマに見えるようになります。
エンターテイメントは大変ですね。

必要に応じた背景

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1コマ目は機敏で小さな動作を表すアクションシーンなので、散らかっていた遊び線を消し、最小限の記号的表現と書き文字だけ残すように直しています。

2コマ目、3コマ目は、『追い詰められた圧迫感のある狭い空間』というイメージの背景にしたいようです。ちょうど後ろにある本棚を目立ち過ぎない程度に濃いグレーなどで描写するとよさそうです。

4コマ目はきれいですね。

自然なコマの流れ

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1コマ目から2コマ目は、頭が真っ白になりつつも思考を巡らす主人公の手元のロウソクが突然フッと消えるシーンです。

緊迫感を保つなら、あまりに大きくて白いコマはここで使わないほうがいいかもしれません。しかし1コマ目~2コマ目で一気に暗くなる表現は生かしたいですね。添削では、トーンなしで主人公の顔アップを少なめの線で描くことを提案しています。

最後のコマは、幽霊が意味ありげなことを語り始めるシーンですが、文字とフキダシが2倍の大きさだったので縮小しています。
次のページも幽霊の独白が続き、転調して激しい語りになっていくので、ここで最大まで大きくしてしまうとあとあと不便ですしね。

また、視線の止まるところが無いので、白ペンで幽霊に目を描き足しています。
ストーリーの根幹に関わる謎が明かされていこうというのに、うっかり読み流してしまうコマだとあとあと面倒です。

さて、今回は状況説明の補強、視線の操作、必要に応じた背景、自然なコマの流れなどの基本的な例をご紹介しました。
お手元のネーム改良のお役に立てば幸いです。

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この記事を書いた人

浜崎ユウマ
絵描きです。好きなものは無、きらいなものは余剰です。

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