逆説と警句、そして思いやりの名神父ブラウン【青い十字架】:G・K・チェスタトン

チェスタトンが生み出したローマカトリックの小柄な坊さんである「ブラウン神父」は、ホームズと双璧をなすほど有名な探偵です。
そんな彼が世に初めて出たのが、この青い十字架です。

名探偵ヴァランタンと大怪盗フランボウ、そして神父の悪戯

パリ警察の主任で世界に名を轟かせる名探偵ヴァランタンは同じく名を轟かせる大怪盗フランボウを捕まえるためにロンドンに潜入していた。

しかしそこで出会ったのは青い宝石付の銀の十字架を茶色の紙袋に入れて持っていると吹聴するちびの神父と、彼の連れであろうのっぽの神父。

そして数々の悪戯。

3要素を併せ持った名作

この作品はブラウン神父のシリーズを語る時に持ち出される「逆説や警句、皮肉」そして「カトリックの精神と知識」それに「奇抜、下手すると滑稽ともいえるトリック」がすべて合わさった名作であり、非常に評価が高い作品です。

ヴァランタンは彼特有の直感と偶然を追いかけるしつこさを持ってして二人の神父を追いかけますし、ブラウン神父は彼特有の逆説的とも帰納的な推理を元にフランボウを追いつめそして最後は二人が敬意を表す結末を用意するのですが、一見すると意味が分からない悪戯の数々の意味が分かると、読者である私たちも神父に脱帽をしたくなります。

強いて難点を上げるのであれば、ブラウン神父とヴァランタンの頭の良さは作品からわかるのですが、フランボウの頭の良さやその性能が作中から伺えないところでしょうか。

ただこれも後の作品でしっかりと描写されているので、いちゃもんの類というのが正しいでしょう。

ブラウン神父シリーズは、ドイルよりも創案したトリックが多いというのは昔から言われている事であり、推理小説を語るのであれば外せないシリーズなのでぜひ一読してみる事をお勧めします。

この記事を書いた人

Agatha
職業欄には「webライター」と書くような仕事をしております。
趣味は読書。主に短編推理小説を読んでいます。

個人的にはもっと短編推理小説が増えろと願うのですが、本格と長編が基本の世の中では同意してくれる人は少ないようです。仕方がないのでテレビドラマの「相棒」と古本屋で見つけた短編集で欲望を満足させているような日々と言った所。

漫画制作向けに特化したEXバージョンへのアップグレード方法や特徴はこちらへ

スポンサードリンク

この情報をシェアする!!

コメントを残す